シリーズ この方はこんな人㉒平滋子
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~優美なほほえみとしなやかな態度で平家一門をドンドン出世させた コミュニケーションのエキスパート~
【プロフィール】
1142~1176年
後白河天皇の譲位後の妃で、高倉天皇の生母。平清盛の妻時子の異母妹であり、
彼らの娘・徳子を息子である天皇に入内させ、自らの存在を圧倒的なものとする。
彼女なくば、清盛をはじめとする平家一門の飛躍はなかったと伝えられている。
1176年に腫瘍ができたため重篤な容態となり、その後わずか4カ月で崩御する。
【インタビュー】
Rico 平家繁栄のキーパーソンといえば、この美女!
滋子 平清盛の妻といえば時子様。その異母妹の滋子です。後白河法皇が譲位
後にお気に召してくださり妃としてくださったの。
Rico もう、女の私がうっとりするほどの美しさです!そして!この方がいなけれ
ば平清盛様ならびに平家一門の台頭はなかったのです。
滋子 私の力ではなくって、私をおとりたてくださった後白河法皇様が権力を
お持ちだったことと、義兄の清盛殿がほかの武士よりもはるかに秀でた方でいら
っしゃったことが結びついたからなのよ。だけど・・・。
Rico だけど???
滋子 後白河法皇様はありがたいことに私を信頼してくださって、政治のことは
すべて私の判断で頼む、とおっしゃられたの。もちろん、私の冷静かつ客観的に
物事を知ろうとする姿勢をお引き立てくださったのだけど・・・。
Rico わぁ~、それって政治の負担を滋子様に丸投げじゃないですか。しかも平家
一門を出世させたのも、滋子様が私利私欲からさせたのだ、とか言われてしまいますよ
ね。
滋子 そう言われたくなかったから、些細な事も確認して調べて決定したのよ。
一度信頼を失くすと取り戻すのに、その100倍の時間と労力が必要になるのよ。
それこそ人生の無駄だわ。
Rico そこが賢明で聡明なあかしですよ。はぁ~、なるほど後白河さんが離さない
わけですよ。
滋子 お出かけした先でも相手が「おっ」と思わせるきめ細かやかな意見をお伝
えできるように心がけたものよ。
Rico 他の後白河さんの愛人たちも嫉妬する時間があれば、滋子様くらいの観察力
と洞察力を磨くべきですね。
滋子 義兄様は武士ではあるけれど、品がよくて先見の明があって意外とおっと
りとした方だったの。そうでなかったら、貴族社会の中で武士が受け入れられるわ
けはなかったのよ。
Rico 独特の社会ですもんね~、貴族様や皇族様って。そこで権力を手に入れられ
たのは、やっぱ平家一門から妃となられ、男の子をお生みになられた滋子様の存在も
大きかったと思いますよ。だって、その息子さんのお嫁さんが清盛さんの娘・徳子様
ですから。
聞きましたよ。お仕えする女房たちが退屈しないように、常にいろんなお話を面白
おかしく上品に披露されたって。
滋子 だって、せっかく私に仕えてくれるのに楽しんでほしいでしょう?
それから、これだけは言っておくわね。大切なことは清盛殿の娘ではなく、我が姉
時子様との間に生まれた娘だから息子のお嫁さんに推薦したということ。
Rico うんうん時子様と滋子様は血がつながってますもんね。
滋子 ここだけの話よ。清盛殿の妻が時子姉様だからこそ義兄はドンドン出世
できたのよ。時子姉様こそ平家一門を影から支えた立役者。先ほど誉めてくれた
お付の女房に対しての心遣いや、いつ後白河法皇や私の息子である天皇が来ても
いいようにお部屋をきちんと片づけて居心地良い状態にしておいたほうがいい・・
などのアドバイスは、すべて時子姉様が教えてくださったの。
だからかしら。時子姉様の血を引かない長男の重盛様とはお顔を合わせたことも
なかったわ。
Rico な~るほど!時子様の人格は別格ですね。平家の皆さまは本当に上品でお
美しいと評判でしたもん。それにご嫡男の重盛様は若くしてお亡くなりになりまし
たしね~。
あっ、だけど「平家にあらざれば人にあらず」という言葉はいただけませんなぁ~。
滋子 お恥ずかしい。その言葉は我が兄が口にした言葉。
Rico ゲゲッ!
滋子 何気なく口にした言葉であっても、インパクトがあるだけに瞬く間に広ま
ってしまい平家一門への反感へとつながってしまったわ。それすらも気づいていな
い兄でしたけど。単なるオバカさんなの。
Rico まさに「おごる平氏は久しからず」ですよぉ~。
滋子 幸い私は病にかかり、平家一門のその後の姿を見ることなくこの世から
去ることができたわ。
Rico でもでも、たった35歳の若さでしたよ~。ほんとに残念です。
滋子 惜しまれるうちが花っていうでしょう。
Rico 平家一門の繁栄は、滋子様に始まり滋子様で終わりました。
その後、平家一門は滅びの道へ突き進んだのです。
だけどさ、あの失礼なことを口にした滋子様のお兄ちゃんは最後まで生き延びた
っていうから「憎まれっ子世にはばかる」とはよく言ったもの。