シリーズ この方はこんな人⑰井伊直虎
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~桜田門外の変で有名な井伊直弼大老のご先祖様 その生涯を家名を守り抜くことにささげた不屈の女城主~
【プロフィール】
1535~1582年
遠江井伊谷城主・直盛の娘。直盛に男子がいなかったため、父の従兄弟の直親を
婿養子に迎える予定が、家臣の讒言で直親が信濃へ逃亡、その地で正室を迎えて
しまう。残された彼女は出家、次郎法師と名乗る。しかし井伊家の血縁者は次々
と不幸な死を遂げ、結局次郎法師が井伊家の当主となり名を直虎と改める。その
後、直親の遺児虎松を養子とし、徳川に出仕させ自分の責務を果たした。
【インタビュー】
Rico 遠江、今の浜松に君臨した女傑の登場ですよ~。2017年のNHK大河
ドラマの主人公にもなりました井伊直虎さんです。
直虎 ハロウ! 井伊谷城主・井伊直盛の娘であり、後継者の次郎法師こと直虎だ。
Rico ご両親が男の子を授からなかったため、お父様の従兄弟である亀之丞
(直親)様を、虎様の婿殿として未来の城主に予定されていたんですよね。
直虎 そうだ、嫁になって安泰できるのかと思っていたら、家臣の小野政直って
いうヤツが、この婚約が気に入らなくって、上司にあたる今川義元さんに「こいつ
は今川様を裏切るつもりですよ」、な~んて、あることないこと言いまくりよって
・・・。
その結果、亀の父上は謀反の疑いで自害に追い込まれ、亀も信濃に逃亡せざるを
えなくなった。
Rico その影響で虎様も出家されたんですよね。
まあ、亀さんも10年間の逃亡生活は、さぞつらかったでしょうね~。だからで
すかね、逃亡生活の間に嫁をもらっちゃって。
直虎 そうそう驚いたぞ。10年ぶりに対面したら横に嫁と子がおったからな。
私は出家していたが亀が戻ったら嫁になるから還俗する予定をしていたのだ。
まあそれは仕方ない。それより青天の霹靂は「桶狭間の戦い」で織田信長が勝利し
て、今川義元さんが敗れ、今川サイドに味方していた父上が討死されたことだ。
家中も動揺しまくったぞ。
Rico ものすごい騒ぎの中で、今度は小野政直の子どもである政次の企みで、せっ
かく戻った亀さん(直親さん)も暗殺されちゃうんですよね~。井伊家はますます、
大騒ぎだったでしょう。
直虎 政次はメチャクチャ頭が切れて賢い男だっただけに、口もうまかった。
義元さんの後を継いだアホの氏直をだますことなんか簡単だったろう。
Rico あちゃー、その結果亀さんの2歳のお子様が井伊家の後継者候補になったん
ですね。名前は虎松様です。
直虎 私のじい様(直平)が、後見役となり、かろうじて井伊家を存続すること
ができたのだが、ぼんくら氏直がじい様に毒をもって殺してしまいよった。
まあ、それから一族の男たちが次から次へと殺されてしまい、井伊家は滅亡!に
追い込まれたのだ。
Rico そこで2歳の後継ぎが成長するまで・・・ということで虎様が城主になられ
たんですよね!
直虎 次郎法師から直虎へと名を改め孤軍奮闘だったな。だがわずか4年で城を
追われてしまった。だが決してあきらめることなく、後継者、その名も虎松の成長
を楽しみに踏ん張ったのだ。
Rico しかも、ご自分が城主のときに新しい試みにチャレンジすることは、あえて
遠慮され、新城主が統治しやすい国造りに心を砕かれたんですよね。素晴らしい!
直虎 ものは言いようだな。挑戦はしていないが改革はしたぞ。井伊家の男たち
はある意味穏やかで優しい。だが、その優しさゆえワナにはまったり言いがかりを
つけられて殺されてしまった。「家」を残すため、虎松を生かすためには、まだ幼い
虎松に城主としての心得を教育する必要があるから目立たぬように改革をしただけじ
ゃ。
Rico またまたご謙遜を~。『井伊家伝記』の中に「次郎法師は女にこそあれ 井伊
家統領に生まれ候」と書かれてますよ。統領の器を持っていたことがこうして残って
るんですよ。
直虎 ほぉ~、そのような記録があるのか。ありがたいな。あ~、思い出した!
一番苦労したのは、虎松の生母のあつかいだったぞ。私には子どもはいないゆえ、
子育てというより城主を育てる意識の方が強かった。すると「虎松がかわいそうすぎ
る」「直虎様はお子がないゆえ冷たい」な~んて、グイグイ突っついてくる。よくぞ、
あのような女を妻としたものよ。それとも子を持つ母親とはみなああいう反応をす
るのか?
Rico いやいや、しないしない。多分、旦那の婚約者でもあった虎様だから、つっか
かってきたんじゃないですか。多少は嫉妬も入ってたんでしょ。
直虎 あんまり、やいやい言ってくるから、虎松は徳川家康殿に仕えさせるつもり
である。そこで可愛がられる武士となるように育てないことには井伊家の未来はない
文句を申すな、と言い切った。
(井伊直正像)
Rico なぜに家康さんの配下に下ろうと思われたんですか。
直虎 フ~ム、虎松の希望であったからなのだが、家康殿は過去に徳川VS武田の
戦いで圧倒的敗北を受けた際、我が井伊家の所領地を武田家が滅茶苦茶に荒らしたこ
とを覚えていての~。徳川家さえ勝利していれば、そのような事にはならなかったのに
・・・と井伊家のことを気にかけていてくださった。その罪滅ぼしも兼ねて虎松を雇
ってくれたというわけ。
Rico 何がご縁につながるかわかりませんなぁ~。あの~、一つ聞いてもよろしいで
すか。
直虎 なんじゃ?
Rico 一生ご結婚されず井伊家に全人生をかけた生き方でしたが後悔はありませんか。
直虎 虎松あらため「井伊直政」となってからの活躍はめざましいものがあった。
井伊家も安泰、私も穏やかな晩年を過ごすことが出来た。何の後悔もないなぁ。
Rico フムフム、虎松さんは徳川四天王の1人にお名前を残されましたし、かの
安政の大獄で有名な「井伊直弼大老」さんのご先祖様にあたりますから。井伊家の
血が続いてよかったですね、虎様。