シリーズ この方はこんな人⑮明智熙子
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~夫は自分の人生のすべて 夫に愛人を1人も持たせなかった魅力あふれるチャレンジャー~
【プロフィール】
生年不詳~1582年
明智光秀の正室であり、細川ガラシャの母。大変な美女であったが、天然痘にか
かり顔にあばたが残る。父は婚約していた光秀のもとへ双子の妹を嫁がせるが、
光秀は熙子を希望して結婚。
苦しい時代には、髪の毛を売り、夫のお客をもてなし「天下を取ったとしても妾
を持たない」と宣言させた話は有名。本能寺の変、続く山崎合戦で夫が秀吉に敗
れて亡くなると、坂本城内において殉死する。
【インタビュー】
Rico 戦国時代の中ではドラマティック人生NO1と言えるのではないでしょうか。
明智光秀さんの奥様である熙子様ですよ~。
熙子 あら、それは皮肉かしら。でも、まぁ仕方ないわね。信長様を自害へ追い
込み、秀吉に滅ぼされた夫を持っていましたから。
Rico いえ!皮肉ではありませんって~!だって、結婚までのエピソードなんて
ドラマそのものの涙もんのストーリーじゃないですか。
熙子 私が天然痘にかかり顔の半分が醜くなったことから始まるストーリーね。
Rico 生まれたときから美少女と言われるだけあって、今もものすごくお綺麗
ですよ。
熙子 ありがとう。そう、みっくんとは幼い頃からのいいなずけだったわ。
でも、顔の半分が醜くなってしまったから父が双子の妹を「熙子です」と言って
代わりにお嫁に出したの。くやしくって悲しくって絶望した。だけど、こんな顔
なんだから生涯人前に出られないって思ってたの。
Rico ところが、光秀様は熙子様ではない!と見破って、妹さんを実家に戻され
たんですよね~。
熙子 『顔の良し悪しは問題ない。歳月や病気で顔はいかにでも変わる。
だが、心の美しさは中々変わることが出来ない』と言ってくれたわ。
ね?惚れちゃうでしょう?
Rico はぁ~。男前のセリフですよ。
熙子 私はこの人のためなら何でも出来る!って思ったし、知力、胆力も申し分
ないと思っているの。だいたい、信長様の時代でも、ややこしい公家とのやりとり
が出来るのはみっくんしかいなかったのよ。
それも、わざわざ公家側からのご指名だったの。それだけ洗練された人間だった
ということでしょ?
Rico 人間性が素晴らしくても、生き残っていくことが厳しい時代でしたから
ね~。信長様に仕官するまではとても苦しい生活だったんですよね~。
熙子様の髪の毛を売ったそのお金で光秀さんのお客様をもてなされた事もあった
とか。
熙子 みっくんに恥をかかすなんて絶対に出来ない!髪の毛なんかすぐ伸びる
じゃないの。しかも私にとって、みっくんが涙を流して感謝してくれる姿を見られ
るほうが幸せなの。だいたい、私って嫉妬というものをしたことがないのよ。
これって、とても幸せだと思わない?
Rico そ~なんですよ。この時代、いやいや現代以外は側室を持ったり愛人を持
つのは「お家のため」には当たり前とされていたんですよ。そのような時に1人も
側室を持たれなかったんですよね~、光秀さまは!
熙子 彼の子どもの母親は全部私なの。まあ、5人だけなので信長様や他の名だ
たる大名の方々からしたら少なすぎて問題外かもしれないけど。男の子2人と女の
子3人よ。
Rico はい、光秀様に側室がなく、お子様いずれもがとてもお美しいことから
「光秀様の奥様は超絶美人!」な~んて織田家中ではもっぱらの評判だと聞いてま
すよ。
熙子 あら、嬉しいわ。ありがとう。実はね、かのフロイスも私のことを「夫
を裏から必死に支え、子ども達の養育の腕も確かだった」とべた褒めしてくれたの
よ。
Rico うんうん。二人三脚で、瞬く間にトップへと踊り出られましたよね~。
熙子 ホホホ、本能寺の変で、秀吉に城を包囲された時に家臣たちは「一緒に死ぬ
覚悟は出来ています」なんて心をゆさぶる言葉を言ってくれたの。
Rico それだけ慕われていたんですよ。
熙子 だけど、みっくんは「裏切り者」あつかいでしょう?その家臣として死ぬこ
とは不名誉な死にざまになるからと、死ぬ覚悟をしてくれた一人一人に対面して、生
きてほしいとお願いしたの。お米と金銀を手渡ししてね。本当に心からの忠誠に感謝
したわ。
Rico 熙子様ってば情の深い細やかな心の持ち主ですよ~。
熙子 あらぁ、私は実は明智光秀という男を天下人にしたい、という目標を掲げる
チャレンジャーだったからね。
Rico ヒャ~!そうだったんだ。
熙子 ず~っと御傍にいて、なんとかこの人を天下人にしたいって思ってたわ。
幸い私はインスピレーションも鋭くて努力することを楽しめる性質だった。ミッシ
ョン達成の苦労なんて娯楽みたいなものよ。そしてね~、見事夢はかなって「みっ
くんの天下」が果たせたわ。たとえ「三日天下」などと陰口をたたかれ「裏切り者」
とウワサをされてもね。
天下人は天下人であり、その初めての妻はわたしなの。
Rico なぜ、このように壮烈な女性なのに生涯が埋もれてしまったのでしょう。
そうなんです。光秀様が本能寺の変以来、時の権力者によって歴史上から消されて
しまったからなんですよ。もったいない。