小学生をとりこにした本の装丁

本を読むことが好きだ。電車に乗る時、人と待ち合わせをする時などは絶好の読書
のチャンスなので、常にバッグに本をしのばせている。
最近は電子書籍を進められることも多い。
だけど断固として書物でないとイヤだ。本の装丁を見て、購入しないとイヤだ。

なぜにここまでのこだわりを持つのか。
本の装丁だけに心魅かれて「この本を読みたい」と切望した経験があるからだ。
しかも小学4年生~5年生の頃に。

その本は母の書棚にあった推理小説だった。明らかに大人の本だった。
だがその装丁を見るだけで「どんな内容なんだろう。読みたいな、読みたいな」
とワクワクしたことを覚えている。
それがこの本だ。

ストーリーの陰惨さ、凄惨さに加え、あちこちに散りばめられている「度肝を抜く
ほど意外な伏線」。ひょうひょうとした探偵・金田一耕介の存在が、人間の裏の闇を
ひん剥いていく面白さ。

何より、この装丁だけで本の中身全てを表現しつくしている恐ろしさ。はまって
しまい、小学校を卒業するまでに、シリーズすべてを購入してしまった。

                            (ごくごく一部を抜粋)

音と心がひとつになるために楽器があるのだとしたら、本と心がひとつになるため
に装丁(カバー)があるのだと思う。

あ~、田舎の小学生の心をわしづかみにした絵を描いてみたい、と妄想が広がる。
そう、人間欲を持ったら努力するしかない。

そして今購入を迷っているのが、この装丁を描いている「杉本一文」さんのイラスト集。