今野敏『任侠銭湯』
何を隠そう(いや別に何も隠してないけど)、私は今野敏さんの「任侠シリーズ」が
大好きである。
4冊目にあたる『任侠銭湯』も集中すること3時間で読み終えることができた。
どのような内容かは本の帯をそのまま抜粋。
東京のとある町に事務所を構えるヤクザの親分・阿岐本雄蔵は、困った人をほっと
けない上、文化事業好きな性格が困りもの。そのせいで組員たちは、これまで出版
社、高校、病院などの経営再建に携わる羽目になってきた。
今度の舞台は赤坂の路地裏にある古びた銭湯!世の中どんどん世知辛くなって、ヤ
クザ稼業も楽じゃないが、阿岐本、代貸・日村はじめ個性的な面々は、銭湯にお客
を取り戻すことができるのか!?
今回も変わらず気苦労が服を着て歩いているかのような日村代貸に、絶大な人脈を
持つ阿岐本組長、そして憎めない阿岐本組の組員たちの笑いあり涙ありのストーリ
ー。ほっこりと丸くおさまる安心感ゆえ、『水戸黄門』を見ているかのような心境で読
める。
そのほかのシリーズはこちら。
思い出した。10代20代の頃、お風呂ダイスキな私は、家のお風呂に1時間つか
るだけでは物足りなく近所のお風呂屋さんに行ったものだ。
だけどいつからか、お風呂につかることもなく毎日シャワーだけの生活になってし
まった。
以前、真昼間に銭湯に行きお湯につかって「フ~!」とくつろいで骨休めをした。
さて脱衣所に出て何気にスマホを見たらもう大変!着信あり、ラインがたっぷり。
そこからメッセージを見て返事を返す間に1時間は過ぎてしまい、その後の予定が大幅
に狂ってしまった。スマホは便利で有難いが、世の中せっかちになってしまったの
で、返信をすぐに返さないと変な強迫観念に脅かされる。それから旅行以外で湯船
につかることがなくなった。
良い仕事をするためには、良い休憩をとる。今度はスケジュール帳に「おふろの日」
だけを書き込んで、湯船につかってほっこりしよう!そう決心させてくれた1冊だった。