シリーズ この方はこんな人㊽濃姫
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~「うつけ」と呼ばれた夫のもとで どのような結婚生活を過ごしたのか その死さえ謎めいているミステリアスなまむしの娘~
【プロフィール】
1535~?年
美濃の大名・斎藤道三の娘であり、織田信長の正妻。「うつけ信長」と「蝮の娘」
と言われながらも夫婦仲は良かったとされる。正妻として子供を生むことができ
なかったが、持前の度量の深さで周囲の尊敬を集めた。不思議なほど史料に残っ
ていないが、最近の研究では信長の死の間際まで彼の傍にいたとされている。
【インタビュー】
Rico この方の瞳や立ち姿を一言で言い表します。「気高い人」です。
現代における戦国武将人気NO1を誇る方の奥様、お濃さんです。
お濃 あら、殿はNO1の人気なの?
Rico そうですよ!信長さんを取り上げた本やドラマがどれほどあるか。しかも演
じる男優がすべて一癖二癖ある実力派であることを鑑みても、カリスマ戦国武将です。
お濃 魅力的な男性よ。私の父・道三パパも信くんのことを認めてたの。自分
の全財産は信くんに残すぞって家中で言ったがために兄に討たれてしまったのよね。
Rico おいたわしや~。
では、あの噂はまことですか?結婚前に道三パパがお濃さんに刀剣を渡して言ったセ
リフ。
お濃 ええ、「信長がうわさ通りのウツケなら、この懐剣で殺せ」って言われた
わね。まぁ、私も「パパより婚約者のほうをすごい男と認めたら、この懐剣がパパ
に向くかもよ」って返したけど。
Rico 実際の信長さんはウツケどころか、芯の通った偉大な人物だったわけですね。
お濃 神経質で疑ぐり深いけどね。彼の凄いところは、天賦の才と待ち続ける忍
耐力とすぐさま動ける行動力を持っていたところね。それから、彼の醸し出す雰囲
気が、人を惹きつける独特のオーラ満載で、まさに神のなせる技だったこと。
Rico お濃さんがお嫁に来られてからググッと、その才能を伸ばされたようにお見
受けしますが。
お濃 あら、アドバイスしただけよ。疑り深いから家臣に相談しないのよ。
Rico ほほ~、例えばどのようなアドバイスをされたんですか。
お濃 今川義元さまは隙のない方だけど、周りの家臣やお付きの者は自分たちが
誰よりも強いと信じ込んでいる。なれば、まずはそのお付きの者を懐柔して、今川
家の情報を細かく探り出す。
後はタイミングだけ。大雨で視界が悪いときこそチャンス。
そのためにも、激しい雨の時には兵を訓練させて自由自在に走り回れるように鍛え
ておいてね。いざという時に、敵に襲い掛かって混乱させ、義元さまの首をとれば勝
利よ。確か、そう言ったわ。
Rico それって、あの有名な桶狭間の戦いじゃないですかぁ!
そっか~、あれはお濃さんの作戦なんだ。
お濃 それからが大変。家臣たちの前で私に相談する姿を見られたくないから、
極力表に出ないようにと言われちゃって。
Rico それゆえ不思議なほどに、お濃さんの記録が残ってないんですね。
噂がうわさを読んで、いろんな説が飛び交ってますよ。
お濃 さしずめ本当に私に子どもがいなかったのか、私はどのように死んだの
か、かしら。
Rico 諸説いろいろありますよ。早々に信長さんと別れて病死説、本能寺の変でご
一緒に死亡説、80歳まで長生き説などなど。長男の信忠さんはお濃さんの子どもだ
ったとかも聞きました。
お濃 ふ~ん。誠に興味深い。では謎は謎のままおいておきましょう。
Rico あらぁ残念。それではお2人はケンカをされたことってありますか。
お濃 したわよ。とっても激しくて、あやうく私は信くんに殺されるところだったわ。
Rico げげっ!何が原因でしょうか。
(織田信長)
お濃 パパが兄に殺されて、その兄を信くんが攻めて私の実家である美濃を攻略した。
その時に兄が持っていた斎藤家の宝と言われる壺を、美濃の家臣から私は受け取ったの。
その壺をこちらに渡せって、信くんから言われたけど断った。
Rico 断った理由は、お濃さんの家に代々伝わるかけがえのない壺だったからですか。
お濃 かなり高価で由緒のある壺だったみたい。
問題はそこではない。夫婦じゃないの!私の壺は信くんの壺。わざわざ渡せってお
かしいでしょ!美濃の家臣の手前もあるじゃないの。そんなこともわからないアン
ポンタンなんて願い下げよ!
「顔を見るのも嫌だから出ていくからね」って言ったわよ。あ~思い出してもム
カムカする。
Rico お濃さんって怒ると激しいですね。さすが蝮の娘。
お濃 私の言葉に怒りまくった信くんが刀で切りかかってきたから「殺しなさいよ、
さあ早く」って睨みながら怒鳴ってやったわ。ほんと子ども同士のケンカみたい。
Rico え~と、え~っと、その後どうなったんですか。
お濃 信くんは家臣と周りのモノに八つ当たりして暴れまくるから、その間に私
は城を出る準備をチャッチャッと進めていたわ。
Rico 離婚の危機ですね。
お濃 壺ひとつでね。
濃がいないと、どんなに大変か思い知らせたかったのもある。尼寺にでも入ろうか
とリサーチしていたのよ。
そうしたらね、私の侍女が「信長様よりお届け物です」と言いながら渡してきたの
が、壺を入れるためのものすごく綺麗な透明のケースだったの。信くんは最初から
壺をケースに入れて、私がいつでも観賞できるようにと考えて準備してくれてたの
よ。それならそうと、私に言ってくれればいいのに「壺を渡せ」しか言わないのよ。
Rico 今、思いっきり「のろけ」ましたね。お濃さん・・・。
信長さんには息子12人、娘15人いたそうです。当然身の回りの世話をする侍女
や乳母まで大勢の人たちが屋敷内に居住し、出入りする業者も多かったはずです。
その中には暗殺者だっていたかもしれません。しかし、織田家中におけるトラブル
が一切後世に伝わっていない。いかに、この人がキッチリと取りまとめていたのか
がわかります。