シリーズ この方はこんな人㊼平徳子

こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。

~平家滅亡のなか唯一生き残り 彼らの菩提を弔い続けた 一族に愛されたマスコット的存在~

【プロフィール】
1155~1214年
父は平清盛、母は時子。高倉天皇の中宮にして安徳天皇の国母。夫と父が相次い
で亡くなり、木曾義仲の攻撃により都を追われ、壇ノ浦の戦いで安徳天皇と時子
が入水、平家一門は滅亡する。自身も入水するが、源氏に助け出され生き残る。
京で出家して後、大原の寂光院で一門の菩提を弔った。『平家物語』では大原を訪
れた後白河法皇に自らの人生を語り、物語の幕を下ろす役を演じている。

【インタビュー】
Rico  セレブ中のセレブでありながら、平安時代一番の悲劇のヒロインと呼ばれた
平徳子さんです。とっこさんのお父様は平清盛さん、お母様は時子さんです。

徳子  ね~、お菓子はないのかしら?

Rico  え~、いきなりお菓子ですか。
何かあったかな~、あっ、「あられ」でもいいですか。

徳子  アイスクリーム。ハーゲンダッツのキャラメルリボンがいい。
これってネーミングもかわいくって、とっこのイメージにぴったりだと思うの。

Rico  はぁ~、今から買ってきますから絶対待っててくださいね!
(アイスを買うため一時休憩)

Rico  ただいま~、帰りました。

徳子  おかえり~、待ってたよ。

(しばし、アイスクリームを食べる)

徳子  おいしかった~、ありがとう♡

Rico  とっこさんのその笑顔のありがとうは無敵ですね。胸がキュンとしちゃいま
したよ。

徳子  そうでしょう~。パパもママも、とっこの笑顔のありがとうが見たいから
って何でもしてくれたの。ううん、お兄ちゃまもしげ(重衡)もよ。

Rico  あらためて平家一門のことは本当に残念でした。

徳子  うん、平家の人たちはみんな美しくて優雅だったのよ。どんなにキラキラ
した宝石よりも輝いてた。

Rico  ご結婚相手の高倉天皇も従姉弟にあたられ平家一門出身の方ですもんね。

徳子  もっとパパとママのそばにいたかったけど17歳になったからお嫁に行か
なくてはいけないよ、って言われてしぶしぶ嫁いだの。
だってさ、高倉ちゃんはまだ11歳だったもん。

Rico  うんうん、まだ子どもですね。でも高倉天皇のお母様は、とっこさんのお母
様の妹にあたるので、少しは気が楽ではなかったですか。

徳子  すごくお美しい方なのよ。高倉ちゃんも私も滋子様と一緒に遊びたいの
に、すぐに高倉ちゃんのパパ(後白河上皇)が奪いに来るの。

Rico  とっこさんは一族から男の子を生まなくてはいけない、というプレッシャー
をかけられていましたから、義理のお父さんのご機嫌はとっておいたほうが良いです
からね~。

徳子  えっ?プレッシャーなんてないよ。とっこは絶対男の子を授かるよって周
りの人がみんな言ってくれたもの。でもね、ただでさえ清盛の娘だということで目
を付けられてたから、おとなしく目立たないことで後宮の摩擦を避けてたのよ。
出産するまでは、おバカなふりして身をひそめてた。平家一門の未来のために。

Rico  なんか、とっこさんはプラス思考で、人に爽快感を与えるタイプなんです
ね。一門の期待通りに男の子を授かられて、さぞかし皆さん大喜びだったことでし
ょう。

徳子  うん、すっごい喜んでくれて超ハッピーだったよ。でも何かいろいろあっ
て、高倉ちゃんが私より若いのに病で亡くなってしまったのよ。

Rico  お気の毒なことでした。なのに、すぐに再婚話が持ち上がったそうですね。

徳子  滋子様が若くして亡くなったからって、後白河パパの愛人になってくれっ
て言うんだもの。ぜ~ったいお断り!って泣いて言ったわ。そうしたら、とっこの
味方であるパパと後白河パパの間も仲が悪くなって、しばらくしたらパパが死んじ
ゃったの。もう、すっごく泣いたわ。こんな所に未練はないから、息子の安徳天皇
を連れて実家に戻っちゃった。
そこからは、源氏に攻撃されて逃げ延びる毎日よ。

Rico  さぞ辛かったのでは。

徳子  確かに逃げ続ける毎日で食べるものだって満足にないけど、ずうっと平家
一門と一緒にいられるのよ。嬉しかったわ。それに、その場にいなくて一門が滅び
たことを耳にするよりも、その場にいて、すべてを見届けることが出来るほうが自
分の心に折り合いがつく。

Rico  でもでも、少なくとも息子である安徳天皇の命は助かったかもしれませんよ。

徳子  助からないわよ。平家が滅びたとわかった途端に、京都の宮中で暗殺さ
れてた。それくらい、とっこも予想できるよ。だからママは最初から安徳ちゃん
を連れて自害するつもりだった。私もあわてて2人の後を追って海に飛び込んだ
けど助かってしまった。

Rico  それから平家一門の菩提を弔うことに、残りの人生すべて捧げられたんで
すね。

     (徳子が平家一門の菩提を弔い続けたとされる寂光院)

徳子  だって、とっこのミッションは平家の菩提を弔うことだから。
そりゃあね、「無様に生き残った女」扱いをされたし、何で私だけ生きてるの、って
自問自答したよ。だから答えは自分で出した。ぶれることなく、自分の使命を果た
すんだってね。

Rico  お母様に比べると思慮分別が足りない女性と思われていますが、非常にポジ
ティブで強い方です。この方の語りがラストを飾る『平家物語』の冒頭部分「祇園
精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。・・・」は、世の無常さと儚さ
をリズミカルに表現した名文と評されています。