シリーズ この方はこんな人㊻北条政子
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~天下の尼将軍といえばこの方。夫を支えて鎌倉時代の執権政治を確立させ 巧みに政治を動かした実力者~
【プロフィール】
1157~1225年
伊豆国の豪族、北条時政の長女。父の反対を押し切り伊豆の流人であった源頼朝の
妻となる。夫はやがて平家を滅ぼし鎌倉幕府を開く。彼女はその御台所となり二男
二女を授かる。しかし長女大姫は20歳の若さで亡くなり、続いて頼朝も落馬がも
とで急死。出家して尼御台となる。次女は14歳で病死、嫡男頼家、次男実朝も相
次いで暗殺されるが、幕府の実権を弟・時政とともに生涯握り尼将軍と称された。
【インタビュー】
Rico 鎌倉時代といえば。
政子 鎌倉幕府と尼将軍。
Rico 尼将軍といえば。
政子 源頼朝を夫に持つ北条政子。つまり私。
Rico 灼熱だけどカラッとして、まぶしい常夏のようなイメージの方ですよ。
頼朝さんが流人として16年間伊豆で暮らしていた時に運命の出会いをされ、婚約
者を振り切って頼朝さんと結ばれました。
政子 そう聞くとロマンティックだけど、実際は腰が引けて慎重そのものの頼朝
殿に行動を移させるのは大変だったんだからね。嫁に行く道中に脱出するから迎え
に来てよ、って待ち合わせ場所も決めてたけどさ、当日ビビッて来ないかもしれな
いって不安だったよ。
Rico はぁ~良かったですね。迎えに来てくださったから夫婦になれたわけで
しょ~。
政子 うん。「平家一門は今が全盛期です。しかしおそらく後は落ちるだけで
しょう。では次に誰が世を統べるのか、頼朝殿、政子は見えていますよ。」
という意味深のセリフを、私の弟から頼朝殿の耳に入れてもらったの。
Rico わお!見事作戦が成功しましたね。頼朝さんは政子さんをお迎えに行き晴れ
て夫婦になられたと。それからは打倒平家に向けて、全国の源氏に呼びかけ一丸とな
ってのご活躍でした。
政子 がんばれ、がんばれ源氏!がんばれ、がんばれ頼朝殿!って応援してたの
よ。でもね、1184年の一ノ谷の合戦で敗れた平清盛殿の五男・重衡様が捉えら
れて鎌倉に送られてきたの。
Rico 平重衡さんですね。頼朝さんが、その聡明さ上品さをいたく気に入られて、
もてなされたとか。
政子 本当にため息が出るくらい綺麗なお顔と品のある立ち居振る舞いだった。
処刑されることが惜しくて惜しくて・・。せめてここにいる間だけでも、と思って
美女と名高い千手の前という侍女をお世話係としてお側にお仕えさせたのよ。私が
お仕えしたいってお願いしたんだけどさ、頼朝殿に「それだけはやめなさい!」っ
て止められたからね。
Rico そりゃそうでしょ~。よくそのようなお願いをされましたね。
だけど翌年の壇ノ浦の戦いで平家一族が滅亡してしまい、重衡さんも処刑されてし
まったんです。切ないですね~。
政子 一番切ないのは千手の前だった。今から思うとかわいそうな役目を押し付
けてしまった。重衡様のことが好きで好きでたまらなくなって、3年後に重衡様の
後を追うように亡くなってしまったから。
Rico 政子さんて、やっぱり情が深い方ですね。情が深いから焼きもちも焼くわ
けだ。
政子 夫が他の女にうつつを抜かすのを喜ぶ女なんかいないって思わない?そも
そも人の夫とわかってて受け入れる女が悪い。だから住んでいる家を壊させただけ
よ。
Rico 頼朝さんが将軍になられてからも側室を持たれなかったのは、政子さんに怒
られたくなかったからとか。
政子 殿は政治家。京都の姫様を妻にしたら「頼朝さまは京都が良かったのか」
と関東の武士たちに勘ぐられて警戒されちゃう。「私は終生おまえたちとあるのだ」
とアピールするためもあって、私を妻にして大切にしたんじゃないの。
(源頼朝)
Rico へぇ~、政子さんも政治家の奥さんですね。
政子 う~ん、というよりも幕府を真に動かしていたのは北条家だったからさ。
そうじゃなかったら、頼朝殿が落馬して亡くなった後、軽率で妻の実家にベッタリ
だった息子・頼家が源家を継げるわけがない。
Rico 長男の頼家さんは、政子さんがその言動を危ぶみ無理に出家させたのです
が、後に暗殺されてしまいます。その後は彼の弟である実朝さんが将軍の座につきま
した。
政子 その息子も頼家の息子に殺されてしまった。私は娘2人を病気でなくし、
息子2人は殺されてしまった。悲しみに浸る暇もなく、上皇が幕府をつぶそうと策
を練り始めたのよ。油断も隙もないわ。
Rico いよいよここで有名な政子さんの御家人に向けての説得となるわけです。
政子さんは不思議な方で、語られる言葉に重みがあり一言一言が心と細胞に染み入
ってしまうんです。
政子 どんな顔して何をしゃべったか考えていなかったのよね~。自然に内から
押し出されるように自分の中の自分が言葉を語っていたわけよ。だってさ、朝廷側
って、ほんと無理難題ふっかけてくるし、コロコロ態度も変えるの。朝廷側が好き
勝手言ってるんだから、毅然とした態度で誠意を込めて話せば、御家人たちはわか
ってもらえる自信はあったよ。
Rico 政子さんのお話にモチベーション上げ上げの御家人衆は、朝廷側を見事蹴
散らし、鎌倉幕府の実質的な支配者は政子さんになりました。
我が子は大事という母性の情と、幕府の命運を同じ土俵に上げてはいけないと自分
を戒めることの出来る人だったのです。