シリーズ この方はこんな人㊸和泉式部
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~高貴な人を魅了し恋多き女性として生きた 情熱的な恋歌で有名な平安時代代表の女流歌人~
【プロフィール】
平安時代
越前守・大江雅致の娘。和泉守・橘道貞と結婚し、一女を儲けるも、冷泉天皇第三
皇子・為尊親王と恋愛関係に陥り離婚。為尊親王没後、冷泉天皇第四皇子・敦道親
王に求愛され愛人となる。その間の事情を記したのが『和泉式部日記』敦道親王も早
逝し、彰子の元に出仕。道長の家司である藤原保昌と再婚した。豊富な恋愛経験を
糧に、ひたむきで情熱的な秀歌を数多く詠んだ王朝時代随一の女流歌人。
【インタビュー】
Rico 「あらざらむ この世のほかの思ひ出に 今ひとたびの 遭ふこともがな」
百人一首におさめられているこの歌を詠んだ、平安時代の女流歌人・和泉式部さんです。
和泉さん自身が、オーラを持った芸能人でいらっしゃいます。
和泉式部 ほんと、人のことなんて放っておいてくたらいいのに、ワイドショーの
ようなゴシップをいっぱい噂されちゃった。まいっちゃうわよね~。
Rico そりゃ~、お相手がお相手だけに大きく取り上げられちゃいますよ。ご主人
と子どもがいるのに、よりにもよって、天皇のご子息と恋愛してしまうんですから。
和泉式部 そうそう、恥さらしだからって親からは「親子の縁」を切られてしまうし、
旦那とも離婚、娘も取り上げられちゃった。まぁ、自業自得だけどね。
Rico その為尊親王が26歳の若さで亡くなってしまうんです。悲嘆にくれて落ち
込んでいるのかと思ったら、為尊親王の弟である敦道親王に交際を申し込まれ、
付き合っちゃうんですから。
和泉式部 あんまり熱心にくどいてくれるから。悲しくて落ち込んでいた時に、気
晴らしも必要でしょ?自分の心をハッピーにしてあげないと、という結論に達した
からお付き合いをしたのよ。
さすがに世間からの非難もいっぱい受けちゃったから、いっそのこと暴露本を書い
てやろうと『和泉式部日記』を執筆したわ。この日記に、2人の恋の始まりから
10ヵ月間のことが載っているのよ。よかったら買ってね。
Rico はいはい。さて、この本にも書かれてますが、敦道親王は和泉さんにベタ
惚れしたあげく、自分の屋敷へ和泉さんを連れて行ってしまうんですね。
屋敷には彼の正妻がいてるのにですよ!
和泉式部 揉めたわね~。「おいで」って言うから行ったのに、真っ青な顔した女
性が、人の顔をみるなり早口でギャーギャーわめきたててくるから「いやいや、私
に言うんじゃなくて自分の夫に言いなさいな」と言ってやった。
Rico 修羅場ですね~。それで結局は・・・。
和泉式部 奥さんは怒って出ていったわ。敦道君も追いかけていかなかったしね。
だけど少し落ち込んでいたから、歌をいっぱい詠ってお慰めしてあげたわ。
私たちって仲良しなのよ。
Rico しかし、その敦道親王との間に一子を授かったあと、敦道さんも27歳の
若さでお亡くなりになってしまうのです。それゆえ益々魔性の女と呼ばれることにな
ったのです。
和泉式部 さすがにドップリと落ち込んだわよ。まるで私が精気を吸い取る化け物
みたいな言われ方もされちゃってさ。こんな美人の化け物がいるのか、って話よね。
Rico そこ、突っ込みどころ満載ですよ。
和泉式部 運命に負けないわ、って数多くの歌を作っていたらある時、中宮彰子様
へ宮仕えをしませんか、とお誘いがきたの。
Rico 藤原道長さんからのスカウトですね。才ある女性を娘の教育係として雇い
「彰子サロン」を創ろうとされていましたから。
和泉式部 あの人ってば私を評して何て言ったと思う?「浮気っぽい女性」よ。
いちいち怒ってられないから歌を詠んで口を封じこめてやったけど。
一方で私の才能は認めてくれてたみたい。だから宮中へのお誘いがあったわけよ。
Rico 和泉さんにとっては良いお話じゃないですか。自分の才能を中宮様に披露
できるし、宮中の影響を受けて新たな歌も詠むことが出来るだろうし。
和泉式部 だけどね、「彰子サロン」って、ハッキリ言って、もさいし、しんきくさい。
まあ、私はいつものように自然体だから気にせず行動してたけど。
Rico この「彰子サロン」には紫式部さんも仕えてらっしゃいました。彼女は自分
の日記に和泉さんのことを「和泉式部は楽しいやり取りが続いたんですが、ちょっと
男性関係はルーズ。すばらしいところは、恋文の何気ない言葉にも色香が漂うといっ
た才覚があります。和歌はとても上手」と記しています。
和泉式部 前半は悪口で後半は私の才能を認めてくれていたってことね。
Rico あの辛口コメンテーターの紫さんが誉めてますから。同じ本で清少納言さん
の悪口はいっぱい書いてますよ。
そして和泉さんの新たな出会い、結婚へと恋のストーリーは続いていきます。
和泉式部 藤原保昌君ね。道長四天王の1人、つまり道長さんの家臣よ。結婚を申し
込んできたから、即位の礼が行われる紫宸殿(ししんでん)に咲く梅をとってきたら
結婚してあげる、って言ったら本当に一枝とってきたのよ。だから結婚したの。
まあ、めでたしめでたしよ。
(藤原保昌)
Rico 男性関係は別にして、この方の歌の才能は、当時の大歌人に高く評価され
ました。周りに特殊な人生を受け入れられ、注目され噂になる運命を持っている人、
それが和泉式部さんです。