シリーズ この方はこんな人㊴清少納言

こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。

~平安時代の王朝文化華やかりし頃 中宮定子様のサロンに君臨した才女であり 日本初の随筆家~

【プロフィール】
966~1025年
平安時代を代表する女流作家、歌人。随筆『枕草子』の執筆者である。15歳頃、
陸奥守・橘則光と結婚、翌年一子則長を生むも、夫とそりが合わず離婚。のち摂津
守・藤原棟世と再婚して娘をもうけた。一条天皇時代、私的な女房として、中宮定
子に仕えた。博学で才気煥発であったため定子の恩寵を受けたが、彼女の死により
宮仕えを辞める。断片的な資料から、摂津に下り晩年は東山月輪周辺で暮らしたとさ
れる。

【インタビュー】
Rico   私が初めて読んだのは高校生の古典の授業のときでした。平安時代の超有
名ブロガーが執筆した『枕草子』。この本は、今読んでも「あるある」ネタでいっぱい
なんです。

清少納言 じゃあ「春はあけぼの・・・」から始まる冒頭は、もちろん知っている
わよね~。ブロガーでありエッセイストの清少納言よ。平安時代だろうが21世紀
だろうが、日々いろいろ感じ入ることはあるわよね。
その気持ちを代弁したり、共感を起こさせたりして「そうそう!」「それが言いた
かったのよ」と思える文章を編み出していたわ。

Rico   お父様と曾祖父さま、そしてご自身の歌も百人一首の中に選ばれています。
有名歌人の学問一家に生まれていらっしゃるのだということが、これでおわかり
いただけると思います。

清少納言 ただし元夫は和歌嫌いのお人よしだったから離婚しちゃったけどね。
まあ、それはどうでもいいか。

『枕草子』って、冒頭だけ読んだら退屈そうだと普通思うわよね?

Rico   ところが実は現在のOLが読んでも楽しめる気軽な読み物、まさにブロ
グ記事。しかもハイソな世界を垣間見ることができて面白い。

清少納言 う~ん、私が書き上げたのは執念もあるかな。私がもっとも敬愛し、
尊敬した中宮定子様を失った悲しみと絶望の中で執筆を続けたんだから。

Rico   定子様はものすごくお美しく魅力的な女性でした。この方の輝かしい時代
を残すためのエッセイが『枕草子』であると言われてましたもんね。

清少納言 世にこのように美しく聡明で優しい方がいらっしゃったのか~、と感激
したもの。「定子サロン」ができ、帝(天皇)が定子様の所にしかお越しにならな
かったのも、生涯定子様しか愛されなかったことも当り前よ。まあ、希少価値の宝
石のような方だったの。

Rico   そういう納言さんも博学で才気にあふれ、とっさの機転がきく「定子サロ
ン」におけるリーダー的存在だったのです。

清少納言 そのように私をお取立てくださったのも、すべて定子様のおかげよ。誤
算はね~、定子様のお父様の弟である道長さんが、政治や権力にあそこまで執着す
るとは思わなかったことね。ご自分の姉にあたる帝のお母様にまで、自分の出世を
泣きつかれたんだもの。

Rico   へぇ~、私のイメージでは道長さんって、ものすごく有能で「やり手」の
おっさんですよ。小学校の社会のテスト問題に必ずといっていいほど登場しますもん。

清少納言 ふぅ~ん、やり手の印象なんだ。まぁ、私が宮仕えを辞めたのは定子様
が出産の時にお亡くなりになったことが原因なんだけど、それまでに道長公が定子
様とその兄上を追い落とすことに全精力を傾けていた姿しか思い浮かばないから、
やり手というより「恥知らず」だわね。

Rico   『枕草子』の世界では、定子様とその兄上は優美で華やかです。その様子
が見事に伝わってきますよ。

清少納言 うん、それまでもさぁ、つらつらと書き続けてはいたのよ。面白かっ
たこと、悔しかったこと、心に感じたことを文に落とし込むのは楽しかったから。
定子様がお亡くなりになった時、そりゃぁ、打ちのめされたわよ。でも私があの方
の美しさ、魅力を残さなければ・・・、いや、絶対に後世に残すんだって心に決め
て、そこから真剣に書き続けたわ。

Rico   その執念、いやっ、その思いが実りましたね。頭が下がります。

清少納言 一生をかけてやり遂げたいと願っていたことが果たせたのよ。執筆して
いる間は、「これが天の采配のなのか」って思う瞬間が幾たびもあったわけ。もう二
度と会えない人、だけど生涯分かちがたく結ばれていた方を世に残せたことは、うん
とうれしいわ。私の人生はそれだけよ。幸せだったわよ。ある意味、定子様と出会っ
てからの私の人生は、世界の色がバラ色に変化したもの。「本物」とはこれなんだ、っ
て肌で理解したっていうのかしら。わかる?

Rico   本物を見た人しかわからない世界観ですね。

清少納言 「書こうかな~」程度なら意味がない。「絶対書く」と心に決めた時に
ブレがなく、達成できるのよ。私は高い願望、高い目標を踏み出しているんだ、
って信じてたもの。

Rico   納言さん。
下世話なうわさ話や、どうでもいいような人を相手にせず、本当に意味のあるこ
とに100%の力を注ぎこんだ、現代でも日本を代表する随筆家の一人として名
を馳せた方であることは、間違いありません。