シリーズ この方はこんな人㊲藤原璋子
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを一人でも多くの人に
知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだされば嬉しいです。
お次は、この方の紹介です。
~政治にまったく興味なし 男たちが求めてやまない美しさと優しさを死ぬまで保ち続けた平安時代のマドンナ~
【プロフィール】
1101~1145年
鳥羽天皇の中宮で、崇徳・後白河両天皇の母。
7歳の時に父を失い、白河法皇とその寵姫・祇園女御に養われた。
法皇の孫・鳥羽天皇に入内、五男二女を儲ける。
女御の宣旨を賜りやがて中宮へ。
白河院の死後は後ろ盾を失い、さまざまな不幸に見舞われる。
しかし死ぬ間際まで「魅力が美しさを上回った方」と言われ続けた。
【インタビュー】
Rico 平安時代後半は、この世のものとは思えない美しい女性を「かぐや姫」と
呼びました。
そして幼い頃から周囲に「かぐや姫」と称された光る皇女が、こちらの璋子さんです。
璋子 平安時代の女性の価値ってね~、美しさと若さだけだったの。
Rico そうみたいですね~。私は現代に生まれて良かったとつくづく思いますよ。
だって、ありえない世界ですから。
璋子 本当に・・・。この世界観は皇族や貴族の男たちだけの価値観だったのよね~。
Rico 璋子さんの愛人の白河法皇も、バリバリこの価値観で
生きていましたもんね。
璋子 養女の私は確かに愛人となり、子どもを身ごもったわ。
法皇様は密かに私とお腹の子の面倒をみてくれる力ある人間を探してくれたの。
Rico え~と、でも皆さん、逃げられたと聞きましたよ。
璋子 そうなの。私とお腹の子の引き取り手がなくって、結局法皇様の孫である
鳥羽ちゃんのお嫁さんに無理やり落ち着いたの。
生まれた子は、鳥羽ちゃんの長男とさせられたから本当に申し訳なくって、かわいそうで・・・。
絶対君主の祖父に
たてつくことなんて出来ないから、イヤイヤ私と子どもを引き受けたと思うの。
Rico だけど、こんなことを言っちゃってもいいのか悩みますが、白河法皇は璋子
さんが嫁がれてもなお、会いたいと、たびたび訪ねてこられたとか。これまた、孫の
鳥羽さんとしては複雑だったでしょう。
璋子 法皇様は私のことが心配で仕方なかったのよ。ご自分の命のほうが私より
短いってわかってらしたから、私を置いていくことが不安だったのよ。それだけに
法皇様が来られた後は、すねて、むくれている鳥羽ちゃんを誠意を込めてお慰めし
てご機嫌をなおしてもらうように心血をそそいだの。だって申し訳ないのですもの。
Rico 当時も今も、権力者たるものは無茶をしますからね~。それがステイタスで
もあるんでしょうが。璋子さんがミューズのように優しくて美しかったことも影響
して、法皇さんてば孫の鳥羽さんを無理やり譲位させて、お2人の間に生まれたお
子を天皇にしてしまったんですね。この方が後の悲劇の天皇となる崇徳さんです。
璋子 そのような事おやめくださいって、何度もお止めしたのよ。だけどお願い
すればするほど、法皇様ってばムキになられて進めていってしまわれたわ。
Rico 老い先短い権力じいさんは、エゴを通すことに自分なりの理屈をつけちゃい
ますから仕方ないですよ。鳥羽さんはどうされてましたか。
(鳥羽天皇)
璋子 祖父の権力は絶対だと理解されてらしたから、表面上は穏やかだったの。
その姿がお気の毒だから、出来る限りおそばを離れなかったの。法皇様の目の黒いう
ちは、愛人も持たせてもらえなかったのよ、鳥羽ちゃんは。
Rico かぁ~!何たる男の身勝手さ。璋子さんが間に入ってオロオロするしかなか
ったってわけですね。
璋子 私も何かお役に立ちたかったのだけど、鳥羽ちゃんとのお子が次から次
に授かって子育てに大変だったの。どの子も私の側から離れると大泣きするのよ。
本当にかわいらしいでしょう。鳥羽ちゃんも、その様子をニコニコしながら眺めて
いらっしゃったの。
Rico 鳥羽さんとの間に6人のお子が生まれたんですよね。
璋子 そうよ。鳥羽ちゃんは自分の祖父との間に子どもを生んだ私を、そうとは
知りながらも大切にしてくださったのよ。
Rico 白河法皇がお亡くなりになって璋子さんの境遇はすっかり変わってしまっ
たんですよね。鳥羽さんはすぐに若い愛人を見つけられてしまったし。
璋子 あら、あたりまえよ。彼には申し訳なく思っていたもの。愛する人が出来
て良かったと心から嬉しかったの。
Rico だけどそのために、鳥羽さんの愛人に権力を奪われて出家させられたんです
よ。なんか理不尽じゃないですか。
璋子 フフ、権力は奪われたかもしれないけれど、鳥羽ちゃんは時々私の所にい
らっしゃって甘えてこられたの。子どもたちも私を気にかけて、時間があれば顔を
見せに来てくださったの。有難いことよ。
Rico こんなお母さんを持ったら、究極のマザコンになってしまいますよね~。
媚びるでもなくただただ優しく美しい女性が身内であるというのは、男にとって
このうえない喜びだろうから。
璋子 私のお役目はそれしかないのですもの。私に会ってホッとしてもらえる
ことが私の喜びだから。
Rico 摩訶不思議な魅力を持った、権力に興味を持たない人でした。夫・鳥羽天
皇の愛人を呪ったというデマを流されて居場所を奪われてしまっても、歌人・西行
さんと交流を持ちながらひっそりと生涯をとじられたのです。愛人にうつつをぬか
していた鳥羽さんは彼女の死に号泣しまくったそうです。