シリーズ この方はこんな人㉞紫式部
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~平安時代 世界に誇る長編小説『源氏物語』を書き上げた 稀代のストーリーテーラー~
【プロフィール】
平安時代
越後守・藤原為時の娘。藤原宣孝と結婚し、賢子を産むが、夫に死別。1005年か
1006年頃から、一条天皇の中宮・彰子に出仕。『源氏物語』『紫式部日記』を著し
た。幼い頃から聡明で、兄よりも早く『史記』を暗記し、「この子が男の子であった
なら」と父を嘆かせた話は有名。
【インタビュー】
Rico 日本が世界に誇る文化遺産『源氏物語』を執筆された紫式部さんです。
原稿用紙に換算して4,000枚もの原稿を書かれました。ものすごい偉業です。
紫式部 私って人間を観察することが趣味だったし、想像力もあったから。
人前でしゃべるのは嫌いだし、人と付き合うことも時間のムダって思ってたから
。ちょうど良いタイミングでこの物語がうわさになったから、執筆と称してわず
らわしいお誘いを断ることができたの。
Rico 執筆を理由に宮中のお誘いを断っても文句が出ないほど、皆さん楽しみに
していたんですね~。だけど紫さんはもともと、藤原道長さんが自分の娘であり、
天皇の奥様でもある彰子様の家庭教師として宮中へ招かれたんですよね。
紫式部 初めて出仕した日から数日で実家に逃げて帰ったわ。よくもあんなバカ
らしい会話を一日中して、人のあら探しばっかりできるものだわ。ちょっと、気
の利いた意見をするだけで袋叩きよ。あんな世界は願い下げ。
Rico それが理由で5カ月間の引きこもり生活をおくられたんですね。
紫式部 ほんとはもっと引きこもってたかったのに、道長様から何度もしつこく
再出仕しろ~、って催促されちゃってね、イヤイヤ戻ったわよ。さすがに今回は
漢詩が読めても「私バカだからわかんな~い」って、おバカのふりをしたわ。
Rico 引きこもりの原因ってイジメが原因だったんですね~。
紫式部 あのさぁ~「定子サロン」があったことは知ってる?
Rico もちろんですよ!華やかで才能ある女性たちが中宮定子様にお仕えして
いたセレブサロンですね。
紫式部 そうよ。あちらはどれだけ自分の才能が優れているかを披露する場、一方
彰子様に仕えている女性たちは地味なのよ。誰かが目立つことは許されないの。
しかもイジメも陰湿だしね~。
Rico はぁ~。だから飛んで帰って引きこもったんだ~。その間にあの名作であ
る『源氏物語』を書き始めたと。
紫式部 客観的に見ると宮中の世界っておもしろいのよ。いろんなタイプの女性が
いるし、政治的思惑も満ち溢れているし。バカのふりをしてるけど、実は私はバカ
じゃないのよ、っていう意思表示をするために物語を書いたのかもしれないわね。
Rico 身に付いていた教養や文学の才能が一気にほとばしり出たんですよ。噂が
うわさを呼び、次の話を聞きたい人が紫さんを取り囲まれた事でしょう。
紫式部 確かに内側にたまっていたストレスや鬱憤が、書くことによって発散して
いったから、それは嬉しかった。
Rico 道長様や彰子様も物語の続きを読みたいと楽しみにされていたそうですよ。
ご自分で自分の居場所を確保されたんですよ。
紫式部 難しいのよ。期待されているから物語を終了させることはできない。だか
ら新たな女性を登場させたり、「えっ!」という出来事を盛り込んで読者を飽きさせ
ないようにしないといけないから。おかげで気が付けばすごく長い物語になっちゃた
わ。
Rico 21世紀の現代では、世界で名前を知られる日本の作家とは紫式部さんと
村上春樹さんだけと言われてるんですよ。本当に天才ですから。
紫式部 幼い頃から「私って実はすごい才能を持ってるかも」とは思ってたのよ。
でも「私が私が・・・」って手を上げたくないの。密かに「すごい」って思われる
ことが理想だったから、今そんな評価をもらって素直に嬉しいわ。
Rico 江戸時代の国学者である本居宣長さんは『源氏物語』を高く評価していまし
た。なんと国文学の正典とまで評していたほどです。ちなみに『源氏物語』とは、
光源氏と呼ばれる稀有な美貌の持ち主で文武両道、あらゆる才能にめぐまれ、妖し
いほど魅力的な上、人並み以上に多感好色な一人の皇子が主人公。彼の生涯に愛し
た恋した個性的で魅力に富んだ女性たちを周りに配し、目まぐるしく起こる恋愛事
件の様相や恋人たちの運命の喜憂を詳細なディテールと行き届いた緻密な心理描写
と共に余すところなく描き切った長編小説です。