シリーズ この方はこんな人㉛平塚らいてう
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~日本初の女性文芸誌『青鞜』を創刊 女性の新時代の扉を開いた カリスマ・オピニオンリーダー~
【プロフィール】
1886~1971年
日本の思想家・評論家・作家。戦前戦後、女性の解放運動、婦人運動のために指導
者として活躍。日本で最初の女性のための文芸誌『青鞜』を創刊した。1912年、
5歳年下の奥村博史と事実婚を始め2児をもうけた。数年後、反戦平和運動に終生献身
し、自伝の製作にも取り掛かっていたが胆囊・胆道ガンを患い85歳で死去した。
【インタビュー】
Rico 『元始、女性は太陽であった』で有名な平塚らいてうさんです。「らいてう」
で「らいちょう」と読みます。女性の権利獲得のために社会と戦ってこられました。
らいてう まったく良妻賢母の教えって何なのかしら。
女は一つのことに集中しようとしても、日常を家事に育児にと身の周りにエネル
ギーを取られ過ぎて、物事をユックリと考えることすら許されない。
Rico 21世紀の現代もそんな所はありますよ~。ちょっと育児を手伝うパパが
「イクメン」と呼ばれて持ち上げられていますもん。まぁ~、男って「わ~、すごい
!頑張ってくれてありがとう!」で動く生き物ですけどね。
らいてう うまく利用すればいいってことね。だけど何で自分の子どもを育てる
ために妻が夫を持ち上げなくっちゃいけないの?意味わかんない。
とはいえ、女性が女であることに甘えるのもいけない、とも思うのよ。
Rico おっしゃる通りです。らいてうさんは、日本で最初に女性のための文芸誌
を出版されましたが、やっぱりその精神が根底にあったからですね。
らいてう 女性誌を出版して自分たちの思いを伝えたい、と思ってた女性たちが
引き寄せられるように周りに集まってきたのよ。男だったら先に「儲かるのか」
「儲からないのか」を議論するだろうけど、女は「何とかなる」って突っ走るからね。
Rico だけど、いざ始めるにはやっぱり資金が必要じゃないですか。
それはどうされたんですか。
らいてう 私の母が、私の結婚費用として貯めておいてくれたお金を出資して
くれたの。本当に感謝だわ。
Rico すばらしい~!さて、らいてうさんは、最初は結婚はされずに事実婚とい
う形をとられていましたけど、当時はバッシングが多くなかったですか。
らいてう 女が自分の志を貫くためには、1人で生きていく覚悟を持つか、自分の
生き方を理解してくれる男を夫とするかなのよ。
子どもが生まれたら愛情はあげるけど、時間はあげられないということをキチン
とわからせる努力をしなさい。努力もしないで「私の時間がない~」って、泣き
言を言うのは卑怯よ。
Rico わお~。厳しい意見!耳に痛いです。
らいてう 別に押し付けてないわよ。子どもにかける時間を優先したいと思う女
性だっているんだから。それはそれで素晴らしいことだもの。結婚という制度も、
保障という意味合いではベストだし、妻としての立場も尊重されるだろうし。
Rico だけど、縛られてしまいますね~。これが女性たちのジレンマ、というか
私のジレンマなんですけど。
まぁ、私のことはどうでもよいとして、さてさて、女性誌を創刊するにあたって、
様々な性格や環境を持つ女性たちとお仕事を進めていくにあたり、問題はなかった
ですか。
らいてう 最初にこだわったことは、ポジティブ精神かどうかだけ。立ち上げの
イケイケドンドンの気持ちの時に、マイナス思考の意見を述べる人は必要ないのよ。
ある程度軌道に乗って組織が固まり始めると、慎重な人の意見も必要になるんだけど
ね。ぶつかって化学反応を起こすこともあるし、縁切りに近い状態におちいる時もある
わ。
Rico あ~、与謝野晶子さんとの論争ですね。有名な「母性保護論争」だ。
2人とも一歩も引かず、働く女性と子育てをテーマに語り合っていました。
らいてう 私はね、妊娠や出産に関することは国も責任を持って補助するべきで
あるという意見だったの。
Rico 対する晶子さんはどのような意見ですか。
らいてう 男にも国家にもよりかかるべきではないと。
晶子さんのように11人子どもを生んで、自分の仕事で生活できる人だからこそ
言えるセリフだと思わない?
Rico う~ん。どちらの意見も間違いではないと思いますよ。だからこそ、らい
てうさんは、政治参加もされたし各種の婦人運動や平和運動にも参加されていたんで
すもんね。
らいてう ほんと、まったく軍部が起こした悲惨な戦争に、女たちは悲劇のどん底
に突き落とされたわ。国が大事なのはわかるけど、戦う男が女より立場が上だとい
う価値観はおかしいもの。女性の地位向上は、絶対必要だと思って、ひたすらペン
をとって書き続けたの。
Rico 21世紀になっても、まだまだ女性差別の波はなくなりませんが、このよ
うにペンで戦い続けてくださった女性たちが存在したからこそ、私たちも曲りなりに
も「男女平等社会」で生きていくことができるのですね。