シリーズ この方はこんな人㉖甲斐姫
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~二万三千もの豊臣軍から城を守りきった凛々しく美しい荒武者ジャンヌ・ダルク~
【プロフィール】
1572年~没年不詳
関東の忍城城主・成田氏長の長女。後、関白秀吉の側室。秀吉による北条氏討伐
の際、忍城も石田三成の水攻めにあうが、姫の出撃で味方の士気も高まり、北条
氏の降伏のあとで開城する。蒲生氏郷の預かりとなっている間に、謀反を起こし
た2人の首謀者を討ち取り、秀吉に気に入られ側室となる。大坂夏の陣で豊臣氏
が滅亡すると、秀頼の子・奈阿姫を守り城を落ち延びる。千姫の助力もあり、東
慶寺に住み生涯を終えたと伝わる。
【インタビュー】
Rico 凛としたたたずまいがクールビューティーの甲斐姫様です。映画『のぼう
の城』で、一躍有名になられたのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
甲斐姫 父は忍城の城主であり、私は三姉妹の長女、父には息子がおらぬゆえ私
が後取りと言われていた。
Rico 忍城は現在の埼玉県にありました。甲斐さんが2歳の時にご両親が離婚さ
れ、三姉妹はお父様のもとで育てられました。お父様は甲斐さんの武の才能を早く
から見抜かれたそうです。
甲斐姫 父も私もお互いに「もし男なら天下に名をなしたであろうに」とくやし
く思っていた。戦略も戦術も得意だったし好きだったからな。殿下(秀吉)によ
る北条討伐の時も私の忍城だけは最後まで落ちなかった。
Rico 石田三成さんが初の武功をたてたいと悲願して、いろいろな戦略を使われ
たにもかかわらず落とすことができなかったんですよね~。
甲斐姫 石田のあの水攻めは大失敗だったな。頭は切れても実践の戦経験もろく
にない。私のように幼い頃から武を学んだわけでもない。机上の論理など現場で
は通用しないという良い例だ。
Rico そんな忍城でしたが、主家の北条氏が降伏したため開城せざるを得ませ
んでした。さて、その後は秀吉さんの家臣である蒲生氏郷さんの所に一族そろっ
て一時預かりになりました。
甲斐姫 蒲生殿の所でせっかく穏やかに暮らしておったのに、家臣2人が謀反
を起こし、あろうことか義母を殺害したのだ。まったく腹立たしい。
Rico ところが!その謀反した首謀者2人を追いかけて見事ご自分の手で打ち
取られたのが、この甲斐さんです。かっこいい~!そして、こんな話が大好きな
秀吉さんが、甲斐さんを一目見たいと会いに来て気に入られたんです。
なんせ東国一の美女ですからね~。
甲斐姫 殿下が私を気に入ったのは、酒豪で豪快に酒を飲み、舞をまい、即興の
詩歌も面前で披露したからであろう。私以上の美女など殿下の周りにはうじゃじ
ゃいたからな。
Rico 戦略に長けている甲斐さんは、ここでもその才能を発揮されました。
側室となることを条件にお父様の出世をお願いされたんですね~。
甲斐姫 そうだ。父を大名に取り立ててもらい、その代わりに殿下のもとに行った。
Rico 宝塚スターの男役のように凛々しく美しい容貌であり、武芸にも秀でてい
られたので、秀吉さんは甲斐さんを連れて屋敷中見せびらかせたのではないですか。
甲斐姫 その通り!だが、そのおかげで淀殿から秀頼様の守役を頼まれた。
Rico そうでしたそうでした!茶々(淀殿)さんと会われた第一印象はどう
でした?
甲斐姫 大輪の花の美しさを持ち、誇り高いが、びっくりするくらいピュアな
方だった。私の性格が男前だと気に入ってくれて守役に任じてくだされた。おか
げで殿下の側室の座を下がり、北政所様つきの侍女として秀頼様を養育することができた。
Rico ではでは秀頼様はどんな方でしたか。秀吉さんや家臣たちから大切に大切
にされていたんですよね。
甲斐姫 自分が大事にされているのはすべて殿下の意向があってのこと、と己を
わきまえていらっしゃった。実戦に出たいと言われていたが、豊臣恩顧の家臣た
ちが自分たちの命をかけて止めていたので、ついに1度も出ることができなかっ
た事は残念であった。確かに生まれついての王としての風格をお持ちであったぞ。
Rico そうかぁ~。秀頼様がいっそ憎らしいワガママ二世だったら、皆さん愛想
をつかすでしょうし、家康さんが攻めることもなかったかもしれませんね。
さて、秀吉さんが亡くなられた後も、甲斐さんは豊臣家にお仕えされたんですよね。
甲斐姫 秀頼様と側室との間に姫君が生まれ、淀殿からの依頼もあって姫の養
育をした。淀殿そっくりの大層な美少女で愛らしい姫であった。だが、大坂の陣が
始まり、私としては戦に参戦したかったのだが淀殿と秀頼様から姫様の行く末を託
されたのだ。
Rico あ~、そうだ!秀頼さんの奥さんである千姫様が、お祖父さん(家康)に
泣きついて、その姫を千姫さんの養女扱いにしてもらったんですよね。
甲斐姫 淀殿は覚悟を決めておられ「甲斐ちゃん、姫をよろしくね」とニッコリ
微笑んでおられた。私は泣きながら姫様を連れて城から逃げ落ちた。
姫様が出家することを条件に千姫様の養女となられ、家康タヌキが用意してくれ
たお寺へと移り、姫様と一緒に私も出家した。
Rico そして、秀頼様の忘れ形見を生涯かけて守り通されたのでした。