シリーズ この方はこんな人㉑細川ガラシャ
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~自分の死ぬ時と場所をよく心得ていた ストーカー夫に内緒でキリスト教の洗礼を受けた聖女~
【プロフィール】
1563~1599年
明智光秀の三女、15歳のとき信長の命で細川忠興に嫁ぐ。幸福な結婚生活は
父の起こした本能寺の変で一変、丹波国に隔離、幽閉される。2年後秀吉のと
りなしで許されるが、夫は愛人をつくり子をなしていた。様々なつらい経験は
カトリックへの信仰に心を傾かせ、ついには夫に内緒で洗礼を受ける。関ヶ原の
戦い直前、敵の人質となることを拒んで死を決意、キリシタンゆえ自殺ではなく
家臣に刺殺を命じたとされる。
【インタビュー】
Rico 透明感ただよいまくりです。神が愛した美女の登場。
細川ガラシャさんです。
ガラシャ あのね~、神様への祈りの時間が無くなるから手短にしてもらえると
うれしいの。
Rico は~い!了解です。ん~?何か聞こえてきますよ。
≪わしらのガラシャ様を丁重にあつかえよ!≫
≪ほんと、あんなヤツがガラシャ様にインタビューするなんて、恥知らずが≫
あの~、怒声が外から聞こえるんですけど・・・、なんなんですか あれは。
ガラシャ 私を神の使いと慕う信者の方々なのよ。皆さん信心深くて善良な方々
なの。
Rico 善良なわりには、ビシバシ意見を言ってますけど・・・。
ガラシャ 気にしないことよ。
あっ、そうそうガラシャってね、意味は~「神の恵み」なの。
Rico ピッタリですね!
さて、お父様である明智光秀さんが「本能寺の変」を起こされたと聞いた時に
はさぞ驚かれたでしょう?
ガラシャ そうなの、ビックリはしたの。でもね、夫も舅も父に味方する気は
ないってわかった時に、私は離縁して実家に帰るつもりだったの。なのに、夫
が丹波の山奥に私を閉じ込めたことのほうがビックリしたわ。
Rico ここで解説!ガラシャさんの夫は戦国大名の細川忠興さんですよ~。
忠興さんは離縁したくなかったんですよ。愛されてたんですよ。
ガラシャ あのね、丹波に2年間閉じ込められてて辛かったけど、愛されていると
思っていたから耐えられたの。だけど2年ぶりに屋敷に戻ったら、彼に愛人と子
どもがいたの。私の父は母以外の女性を側室になど持たなかった。とっても仲良し
だったの。
あ~、裏切られた~、ってショックだった。しかもね、せっかく戻ったのに外出禁止
にされたのよ、ひどくない?
Rico 忠興さんは今で言う「ストーカー」ですもんね。ガラシャさんを家に
置いておきたいし、他の男の目にふれさせたくないんでしょう。
ガラシャ 私が庭で下男とお話ししただけで怒りまくって、その下男を殺して切り
捨てた首を私の朝の食卓へ投げ込んでくるのよ。
Rico え~!どうしたんですか?
ガラシャ そのまま食事を続けたわよ~。
「かわいそうな男」って心底思っちゃったわ。
Rico 夫が夫なら、妻も妻ですね~。怖い夫婦(汗)。
ガラシャ とにかく生きる希望なんてないのよ。常に見張られているし、外に気分
転換も出来ないし・・。そんな時に侍女の1人から「カトリック教会」と「イエス様」
のことを聞いたの。「これだわ!」って、すぐに思ったわ。彼が戦場に出ているすき
に洗礼を受けて信者の仲間に入れていただいたの。子ども達も洗礼を受けさせたの。
Rico 忠興さん、怒ったでしょう~。
ガラシャ わめいてモノは壊すわ、刀を振り回すわ超大変。ちょうどその頃、関白
秀吉さんがキリスト教禁止令を発令されたから、私にキリシタンをやめさせよう
と、私の侍女の鼻をそぎ落とすことまでしたの。
Rico メッチャ残酷ですね。無茶しますね。
ガラシャ かわいそうな人でしょう?だから「イエス様、なにとぞこのあわれな男
の行為をお許しくださいませ」と祈ったの。
Rico 忠興さんにそこまでされても信者をおやめにはならなかったんですね。
ガラシャ どうしてやめるの?「主よ、彼の罪をお許しくださいませ」って祈るとね
スッと心が穏やかになっていくの。心がとっても静かで落ち着くのよ。
何をしても私が微笑む姿を見ているうちに、彼ってば屋敷の中に私専用のキリスト
教の聖堂を建ててくれたの。
ね~、言い合いをしてケンカしていたらこの結果にはつながらなかったでしょ~?
しかもキリスト教では「姦通は罪」にあたるから、信者の方々が私を拝みにきても
安心していたみたい~。まぁ、愛されていたのよね。
Rico はぁ~。だからあのような壮絶なお亡くなり方をされたんですか?
キリスト教が自害を禁止されているからといって、家臣に殺しなさいと命じるなんて
・・・。
ガラシャ う~ん。「本能寺の変」の後に、私以外の明智家の人間は主のもとへ行った
でしょう?ほんとなら私もご一緒するはずだったのよ。
Rico いやいや、それはダメですって。きっと明智家の皆さまもガラシャ様に生き
ていてほしいと思っているはずなので。
ガラシャ そうだけどね、私は心安らかに祈る日々を生きる暮らしが理想だったの。
そして、これが重要なんだけど、殿は私が石田方の人質になるくらいなら私に死んで
ほしいと願ってたのよ。
(細川忠興像とガラシャ像)
Rico 忠興さんは、おそばにガラシャさんを置いておきたい人ですもん。
ガラシャ でしょう~。殿だけじゃなくて家臣たちも、私が石田方に捕まってほしく
なかったみたい。私は彼らの永遠の聖女だから。
だからこそ私を自害と見せかけて殺しても問題はないのよ。殿の希望でもあったか
ら。私自身も死ぬことについては怖くなかったし。
Rico えっ?えっ?
ガラシャ 深く考えないの。あなたも一度『聖書』をお読みになれば。そうすれば、
この時の私の気持ちがわかるわよ。
Rico 本を読むのは好きなんですけどね。『聖書』は読んだことがないのでチャ
レンジしてみますね~。
しかしガラシャさん、あなたはすごい人です。