シリーズ このお方はこんな人④日野富子
こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。
~時代のせいで悪女にされた財テクの天才 巨万の富を築き上げた銀閣寺将軍の妻~
【プロフィール】
1440~1496年
将軍家と縁戚関係を持つ日野家出身、室町幕府8代将軍義政の正室。長く男子に
恵まれず夫の実弟を還俗させ将軍にされてしまう。しかし翌年義尚を出産し、後
継ぎ問題から応仁の乱勃発の引き金となる。乱の最中資産運用を着々と進めたと
される。25歳の若さで義尚、翌年義政も没する。有能女性政治家ゆえ彼女が推し
た将軍とは、いずれもそりがあわなかった。57歳で没する。
【インタビュー】
Rico 財テクの大立役者といえば、この方。日野富子さんです。室町幕府
8代将軍・足利義政さんの奥様であります。
日野富子 日本史上の悪女とも言われてるけどね。おまけに私が「応仁の乱」の
原因とも噂されちゃって。日本史をしっかり学べば、乱がなにゆえ起こったのか
は、原因不明ってわかるはずよ。
Rico そうですよね。幕府の衰退やいろんな要素が絡み合って起こった戦で
したから。何が原因なんて、ハッキリわかっていませんよ。
日野富子 あら、少しはお勉強しているようね。
だいたい、義政が政治から逃げて自分の別荘を建てたいと、あちこちからその費用
を集めたから幕府の財政が傾いたのよ。将軍が聞いてあきれるわ。
(足利義正が建立した「銀閣寺」)
Rico その義政さんが、富子さんに子どもは生まれないと早合点して
自分の弟に将軍の位を譲っちゃったのですね。すると、翌年に富子さんがご嫡男
をお生みになられたと。これも応仁の乱の一因になっていると言われてますよ。
日野富子 頭が悪くて先の見通しができない、人の心の機微もわからない男だ
ったわね。私が嫁いできたときも、自分の乳母を愛人にしてたし、その他にも
4人の側室を持ってたし。
私が第一子を産んだその日に、子どもは亡くなってしまったの。「あなたのそば
の女たちの呪いのせいよ~!」って大泣きしたらオロオロして、全員追い出して
くれたから、その意味では純粋なお坊ちゃんよ。
Rico はぁ~、なんて言うか義政さんてば富子さんと勝負になりませんなぁ。
じゃあ、思い切って聞いちゃいます。ずばり財テクの秘訣とは何ですか?
日野富子 使うべき時はお金を惜しまずに使うこと。あのね、庶民にお金を貸し
てはダメよ。彼らは本当はとってもたくましから。自分たちで道を切り開いていく
わ。反対に天皇様は自分たちで稼ぐという概念をお持ちではない。
Rico そりゃ~、天皇様ですからね。
日野富子 だから生活がとても苦しい。そこに「珍しいお菓子が手に入りました
ので、どうぞお召し上がりください」「館の屋根の具合が少しいたみかけていると
お見受けしたので修理をさせました」とか、恩を少しずつ売っていくの。そのため
にお金を使うの。そして、お金が困っている人にはお貸しして、利息を上乗せして
返金してもらう。
Rico そんなことして踏み倒されたらどうするんですか?
日野富子 天皇家と繋がっている将軍の妻に頭を下げてお金を借りに来るのは、由緒
ある家柄の者たちよ。彼らは内緒で来て内緒で帰ってくわ。周りに借金していると
知られたら恥ずかしいっていうプライドだけは高いもの。
Rico なるほど。意外と単純なシステムですね。
日野富子 単純だからこそ広まるし噂になる。しかも上乗せした利息は、天皇様
のために使われているとわかったら誰も何も文句は言えない。
Rico すごっ!勉強になります。ところでご家族の話に戻ってもよろしいでしょ
うか。結局息子さんが将軍になられたんですよね。
日野富子 義政といっしょに1人の女の取り合いはするし、酒ばっかり飲んで政治
に興味を示さない、ほんとにほんっとに困った親子だったわ。続けざまに現世を去っ
てしまったけど。息子は25歳で、その翌年に義政が旅立った。
Rico え~!寂しかったでしょう。夫も息子さんもお亡くなりになったら。
日野富子 なら問いたい。大酒のみで女の尻ばかり追いかけまわす夫と息子を持ちた
いかと。
Rico う~ん。はっきり言っていっしょに住みたくないかも・・・。問題ばっか
起こしそうですもん。
日野富子 そうであろう、そうであろう。世の中は弱体化した幕府に頼るよりも、
己の頭と腕っぷしで勝負していこうとする戦国武将もたくさん出現してきた。
私には莫大な財産とかわいい2人の娘もいた。そして恩を売っている天皇家からは
季節ごとに風流な催しのお誘いもある。
Rico 下剋上が生まれても富子さんは理想的な生活をおくられたことがわかり
ましたよ~。