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2019-06-07

恩田陸『蜜蜂と遠雷』

何を隠そう(別に隠していないが)、私は5歳から14歳までピアノを習っていた。
しかし練習がイヤでさぼってばかりいたので、いつも先生から叱られていた。
行くのがイヤで母から渡されていた月謝でお菓子を買って、レッスンに行ったフリ
をしたこともあった。当たり前だがすぐに双方へばれることとなり、母からも先生
からもタップリ怒られた。

こんな情けない経歴を持つ私にとって、この『蜜蜂と遠雷』という本は、「あ~、や
っぱり音楽の神様はちゃんと人を選んで才能をお貸ししているんだ」とストンと腑に
落ち、納得させてくれる1冊であった。この本の総評は賛否分かれたと聞いたが私
は素直に、聴覚でしかとらえることの出来ないと信じていた世界を、視覚でとらえ
させてくれた初めての本だ、ものすごい表現力だ、と感動した。

1つだけ言わせてもらうとすれば、4人のピアニストが私のようにひねくれた人間
からすると、まぶしいくらいピュアだったこと。天才の領域とは凡人に理解ができな
い・・と首をひねってしまうほどに。

裏を返せば、神様に愛された人というのは、こういう人間なのだ。レッスンに行く
ふりをしてさぼり、月謝でお菓子を買って食べるような人間ではない。

 

※タイトルを間違えていましたことを心よりお詫び申し上げます。

今回ご指摘をいただき誠にありがとうございました。以後気をつけます!

 

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