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2019-01-09

シリーズ この方はこんな人⑭出雲阿国

こちらは日本史大スキ女のわたしが、日本史上有名で気になる女性たちを
一人でも多くの人に知ってほしいと願い、もうけたコーナーです。
インタビュー形式で展開していますので、興味がありましたらご一読くだ
されば嬉しいです。お次は、この方の紹介です。

~一世を風靡した「かぶき踊り」は歌舞伎の原点 男装に扮して舞い踊り戦国時代の人々を熱狂させたトップダンサー~

【プロフィール】
生没年不詳
安土桃山時代に「かぶき踊り」で一世を風靡した歌舞伎の開祖。かぶき踊りは、
男装した阿国が「かぶき者=不良」の行動を芝居仕立てで舞い踊るという斬新な
もの。1603年、都で衝撃的なデビューを飾り、平穏を取り戻した京の人たち
を熱狂させた。
ところが、これほど評判になりながらも、彼女についての情報は謎に包まれたま
まなのである。

【インタビュー】

Rico   歌舞伎のご先祖といえば!

出雲阿国 わたし出雲阿国である。

Rico   さっそくですが、阿国さんは出雲(島根県)のご出身ですか。

出雲阿国 違うよ。出雲って出雲大社もあるし、みんな知っているじゃないの。
だいたい、わたし達庶民はどこで生まれたかなんて、証明のしようもないじゃな
い。だったら、知名度が高い所の出身って言った方が「はく」がつくのよ。

Rico   な~るほど。そうなんだ~。ところで、やっぱり小さいときから踊り
が好きだったんですか。

出雲阿国 う~ん、小さいときから同じようにやらされてても、才能はわかっち
ゃうのよね~。わたしは、ものすごく上手だったし期待されたから頑張っちゃっ
たのよ。しかも背が高かったから男役も演じられるしね~。

Rico   おお!宝塚の世界だ。

出雲阿国 日本人てさぁ、1人で踊るより集団で踊るのが好きなのよ。だったら、
みんなで踊れる振付も考えた方がいいじゃない?だから、いっぱい演出を考えて
アイデアを出したのよ。座長が考えたのよりわたしが考案したほうが観衆に受けた
もんよ。踊り手が楽しくなかったら見るほうも楽しくないじゃん!

Rico   おっしゃる通りです。そこで有名になっていき、あの蒲生氏郷さまの部下
だった、名古屋山三郎さんの吹く笛の音に合わせて踊ることになったんですね。
こんなの現代でしたら県知事の直近の部下とのコラボに値するするんですよ!

出雲阿国 そうね~。いい宣伝になったわ。民衆にバカ受けしたもの。
また、名古屋様って超イケメンだったから女性客が殺到よ。もっと、コラボしたか
ったのに「己の道」に目覚めたらしいわ。その「己の道」で殺されちゃうんだもん、
「何やってんのぉ」って思った。

Rico   恋愛関係だったとか聞きましたよ。

出雲阿国 あ~、その時は盛り上がったかもしれない。男前だったし、話題性もあっ
たからなぁ。次の芝居に亡霊役として登場させたら、大評判になったの。死してもな
お舞台では生きるなんて幸せよ。

Rico   阿国さんのプロデュース力もすごかったですよね~。「天下一」の称号もお
持ちでしたよね。

出雲阿国 「天下一」さえあれば、名誉もあるしそれだけで飛ぶように人気が出たわ。
だって、その時代の象徴だからね。それゆえ、あらゆる分野で欲しがられていた称号。

わたしは、後陽成帝の女院の御所でその称号を頂戴したの。おかげで「天下一」のネ
ームバリューを使って、人もお金も集まってきたわ。

Rico   まさに名プロデューサーであり、花形役者ですね。何でも徳川家康さんの息
子さんにもお招きされたとか。

出雲阿国 あ~、家康の次男・結城秀康殿ね。伏見城で歌舞伎踊りを披露して、大層
喜んでくれたけどさ、その後がダメダメ。ぐずぐずと「俺は天下一になれぬ男じゃ~」
と言い腐って、メソメソ泣くんだもん。女々しいのにもほどがあったわ。
まあ、珊瑚の数珠をもらったし、きっと純粋なお坊ちゃまだから素直に感情をおもて
に出せるんだから・・・と思って「うんうん」と聞いておいたけど~。

Rico   歌と踊りは神事で絶対必要なものですから。そこにユニークなセンスを散
りばめられて、阿国さんは見事花を咲かせましたよ。

出雲阿国 フッ、だが徳川の世になってからは文化の発展をぜいたくだと決めつけた
の。しかも江戸という街は、とにかく誰もがせわしなかった。生きていくことに楽し
みを見出すことをイヤがっているかのようだった。

Rico   えぇ~?それでどうされたんですか?

出雲阿国 どうもこうもないではないか。オファーがなければ衰退していくだけ。
だいたい、全然面白くなかったからワラワは自分から江戸を去った。その後は自分
の気の赴くまま、求められるままに踊りを踊ったの。息苦しい世の中なんてまっぴ
らごめん。

Rico   そうですよね~。家康さんの時代になったら、プッツリと阿国さんのウワ
サがありませんでしたもの。

出雲阿国 わたしが消えても踊りはなくならず、現代でも「歌舞伎」として残ってい
るではないか。だけどなぁ~、いつの間にか 男社会になっているのは不思議。素晴ら
しい踊りを披露するのに男も女も関係ないけどな。

Rico   ほ~んと!これからは歌舞伎の世界にも女性が進出していくかも。

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